青色7号

思ったこと考えたことをひっそりこっそりそろそろと

雨降り

 あぁ、雨が降っている

 

 オレは薄暗い通路のようなところを歩いている。どれほど歩いてきたのか、何時頃なのかも分からない。ただ、雨が地面を打つ音が聞こえる。

 ザーザーと音がしている。昔は雨に打たれて歩くのが好きだった。

 例えようのない倦怠感と虚しさに襲われている。迷いは渦巻き、鬱屈した不満が爆発しそうだ。なのに、もうどうにもならないのだという諦めが、不満を圧縮してしまう。雨音はさらに大きくなった。

 通路の外に出る。

あぁ、雨が降っている。いつ止むのだろう。止まなければいい。

雨に全てを洗い流してしまいたい。雨はお構い無しに降っている。

また雨に打たれて歩こう、と思いながら諦める。

足を動かすことが出来ずに立ち尽くす。こんな雨の日にも人は街に繰り出している。立ち尽くすオレにお構い無しに通り過ぎて行く。雨と同じだ。こんなにも人はいるのに、立ち尽くす人なんて自分しかいないなんて。この世界には自分しかいないのかもしれない。

そうか、誰かと、アイツと雨を共有したいんだ。雨が降っていること、空が灰色なこと。

「アタシ達にお天道様は眩しすぎるね」

そうだよ、オレには今でも太陽は眩しすぎる。お前はどうだ?きっと変わっただろう。それが生きるということだ。

降り続く雨に気が狂いそうだ。雨に打たれるのを楽しむことすらできない。

最後に感じた雨は1ヶ月くらい前だ。

その日は確か晴れていた。晴れていたんだ。

だからアイツの顔が逆光で見えなかった。その時に降ったんだよ、アイツの目からポロポロ。

馬乗りになってオレを見下ろしながらアイツは泣いていた。頬に何粒も落ちる雫がオレの最期の雨だった。

本当に雨も何もかも通り抜けるんだな。

通路に戻って歩き続けないと。

罰なんだよ、オレの。

成仏出来ずにずーっと歩き続けるのが罰らしい。

アイツが首を絞める前に、オレはほぼ死んでいたんだ。自分でそうすることを選んだ。

いつかどこかでアイツに会ったら、その時は、

 

あぁ、雨が降っている