青色7号

思ったこと考えたことをひっそりこっそりそろそろと

交差点でサヨナラ

「こんなもんだろうか……」

髪のセットを終えて、男は呟く。

今日は付き合い始めたばかりの彼女とデートだ。

 

女性に関してあまり知らないので、本屋で雑誌を買い、服をコーディネートし、髪を整えている。

ここまででもかなりハードルが高い。

ファッション雑誌を買うなんて初めてだから。

まぁ、少しでも女性の気持ちが分かれば御の字といったところだ。

 

 

「え、顔もいじるわけ」

女はげんなりしている。

初めて作った彼氏とのデートを控えて。

読みもしないファッション雑誌を買い、服も買った(世間ではマネキン買いというらしい)。

髪の毛もアレンジした。

「男ってこういうの好きなのね。へー。」

 

そして二人は待ち合わせ場所に向かう。

すぐに分かった。お互い、そこは入念に。

(女はこういう格好をするのか)

(男はこういう香りをさせるのね)

 

(どうも食べる気にはなれない)

(ご飯を食べるのが定番らしいが、空腹感は生まれない)

 

(手はこんなに冷たいものなのだろうか)

(相手の考えが読めるのは気のせいかしら)

 

 

デートは恙無く進んだ。

傍目から見れば、お手本のようなカップルだった。

二人とも、入念に調査をしているのだから。

デートも、デートをしない時も。

 

そして、3ヶ月経って、このお手本カップルは終焉を迎えることとなる。

用が済んだのだ。

しかし、抜かりなく調べてあるから、「用済み」などとは言わない。

仕事の都合で仕方なく、けれど前向きで円満な終焉を二人で迎えた。

 

二人は元の他人になり、それぞれの帰るべきところへ帰る。

そう、帰るべきところへ。

 

 

それぞれの調査本部に戻り、二人は本来の姿に戻る。

収穫はあった。

実際に社会に溶け込み、男女の付き合いをしてみることで、一体どういう生き物なのかを知った、はずだった。

 

 

二人は呟く。

「「あぁ、地球人はこうもめんどうなのか」」