青色7号

思ったこと考えたことをひっそりこっそりそろそろと

隙間

ついに訪れた、人間一人一人にマイクロと呼ぶにも小さすぎるようなチップが埋め込まれる時代が。

そのチップは、各国で管理され、各国のサーバーは某国のサーバーで一元管理されている。

 

このチップを管理システムが認証し、人間であることを承認する。

つまり、チップが埋め込まれていない個体は人間として扱われない。

管理システムは生き物をスクリーニングし、分類を判定する。

高度に文明が進歩するなかで、未だに2本足で直立する霊長類は人間だけだ。

増長した人間は様々に工夫を凝らし、チップなんてものを生み出した。

散々チップと連呼しているが、チップが物理的に入っている訳ではない。

元々人間に入っている遺伝子を認証する、という形だ。

だから、経済的事情でチップを入れられないなんてことも生じないし、わざとチップを入れない、ということも出来ない、一応。

出来ないことはないのだが、それは大層な遺伝子操作であり、そのようなことは条約によって世界的に禁止されている。

 

遺伝子情報を元にしているため、人間共通の部分もありながら、一人一人固有の部分も備えてるため、様々な手続きがそのチップという遺伝子認証で可能になった。

遺伝子認証という方法は、本人自らの行動より間違いもなく、簡便だったため、国家の運営を管理システムが代行するのに時間はかからなかった。

 

管理システムに様々なおまけを追加して、町は、国は、世界はどんどんきれいになり、間違いなどなくなっていった。

やがて国家に反逆する者もいなくなった。当初はいた。

遺伝子操作をして、システムの目をすり抜けようとした者がいたのだ。

管理システムへのアクセスは人間としての認証が必要となったし、条約で遺伝子操作も禁止された。

そのような経緯を辿りながら、世界はきれいになり、正しくなっていった。

 

文字通り平和が実現されていったのだ。

 

世界中が一瞬静かに、無音になった気がした。

あの無音が気のせいだったら、と願う者がどれほどいたのか、今となっては分からない。

 

気のせいではなかった。

管理システムが落ちた。

それが何を意味するのか。

 

人間が人間でなくなった瞬間だった。

 

遺伝子の認証と承認機能が不全となったら、もはや人間は人間であることを証明できないことに気がついていなかった。

 

管理システムは悪用されることを防ぎ、国防の役割も担っていたために、2本足で直立する霊長類で人間と承認できない生物は排除するよう開発されていた。

それで困ることはなかった。なぜならシステムに間違いがないから。

システムのすることは全て正しかった。

 

文字通り世界中は混乱を極めた。

システムが「正常に」動くことで、人間(だった者)は次々に排除されていった。

システムを復旧しようにも、人間として認証されなければ、止めることすら出来ない。

神は世界を7日間かけて創った。

 

システムは世界を7時間で壊した。

 

だが、システムが新たな神になることはなかった。システムに間違いなどないのだから。システムがエラーを起こしたことに気が付いた瞬間、システムは自らを壊した。

それは世界を壊した30秒後のことだったという。

 

私?私はね、

 

悪魔さ。

 

おっと、書類をシステムの換気孔の前に忘れるところだった。

 

また、どこかで。