思い出す

ナナサンだけなのかどうなのか、機械音痴のナナサンには分かりませんが、某SNSの具合がよろしくないようで。

ふと、星新一のある作品を思い出しました。

「冬の蝶」という作品。

確か『ボッコちゃん』(新潮文庫)の中に収録されています。

なかなか、この本に収録されている話はショッキングでブラックな物語が多いです。表題作然り。

全て電気とネットワークで管理されている世界。それが突然全て動かなくなってしまったら……。

「冬の蝶」は情景描写が美しくてね。そして、ラストシーン。これが人類が初めて火を獲得した時代に戻っていることを暗示させるかのようでね。

因みに、人類が当たり前のように享受しているシステムがある日突然何か不具合を起こしたら、というモチーフの作品は他にもあります。

「味ラジオ」なんてのも、技術はここまで人間を変えるんだ、とちょっと寒くなるし、「ずれ」もそう。これは笑えるユーモア詰め込んだ作品。映画になったら面白いな、とか思う。

逆に、システムで何もかもが管理されていて、それが滞りなく進んでいくことの危うさを「ありふれた生活」で描き出している。

 

ナナサンが星新一と出会ったのは、母が『きまぐれロボット』を与えてくれたから。その次は母が持っていた『ボッコちゃん』だった。

児童向けの『きまぐれロボット』から、いきなり大人の世界に入ってしまった。

出てくる出てくるブラックユーモアの数々。

ショートショートだからその黒さが際立つ。

その毒性の強さにやられながらも病みつきになった。次々話を読みたくなる。

文字通り寝食を忘れて全集を読みふけった。

一番印象に残っている文庫本と言っても過言ではない。

彼の作品の挿絵は和田誠氏だと思っていたら、真鍋博氏も担当していることを知った。真鍋氏の描く挿絵の独特な誇張のし方。

いつも何かあるたびに思う。

星新一はどう思うだろう」「これを彼がショートショートにしたらどんな作品になるだろう」「あ、作品が現実になってしまった」

ナナサンの中で、彼は最も偉大な小説家であり、予言者だったと思う。

先見の明があって、それをユーモアのセンスにくるむことで騒ぎ立てない、謙虚な人柄。

ユーモアのセンスがあるということは、自身がユーモアを理解しているということであり、教養がないと理解できない。彼は良質な文章と良質な洒落を沢山吸収してきたのだろう。

彼の頭の中を覗いてみたかった。